周知のようにミラノには海がない。トリノのまだずっと北から下り、ヴェネツィア南方の海までイタリアを分断するかのように横断しているポーというイタリア最大の川がここミラノの南はずれを流れてはいるが海はまだそのまだかなり南、そうジェノバ辺りまで行かなければ見ることができない。
ミラノ隆盛の期といわれた14世紀末にはじまる公国の時代、時の君主、ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティによる御家政治は様々な改革を北イタリア一帯にもたらした。その名残りは今日も至るところに見えて、たとえばミラノ市街地であればその街の核として鎮座する大聖堂(ドゥーモ)が時の遺産を代表するものであろう。ジャン・ガレアッツォ当人が立ちあったと記録に残る定礎が1386年、内外部の細かい作業はいままだ終らずにいるものの、ボナパルト・ナポレオンのミラノ統治下だった1813年、フランス支援のもとひとまずの竣成と伝えられている。
400年以上かけての構築は、もちろんジャン・ガレアッツォのみの意思と権力で成し遂げられるものではない。ミラノ公国の衰退後はスペイン・ハプスブルグ家、オーストリア・ハプスブルグ家、そして欧州を幅広く網羅していたナポレオンによるフランス軍の北イタリア征圧下、強大なローマ・カトリック教との共存の中で完成をみたいわば様々な時代の様式のなかで育った巨大モニュメントなのである。
それだけにその基礎を築いたジャン・ガレアッツォの功績を凄まじく思う。
ミラノは海や川のない平地である。もちろん中世の時代より農地の拡大や充実を図る意図があり水路、いわゆるインフラが行われてきた。そして、ミラノの君主主導のもと壮大なプロジェクトがはじまったのが14世紀中頃、街づくりの一環としてその資材を運搬する目的によって幾路もの運河が掘り進められたのである。
大聖堂をつくる上での主材となるのは大理石である。ミラノの場合、北イタリア、マジョーレ湖の近隣で採れたものが運ばれるというので、そのための運搬水路が必要になってくる。湖からポー川まで、その先パヴェーゼといういまもまだ残る運河を使い街の中心部まで運んだという記録が残っている。
ミラノに現存する運河は僅か3本しかなくなってしまったが、20世紀初頭までは多くの水路があったようだ。ヴェネツィアほどではないにしても水路の交わる美しい街であったらしい。実際、残された写真もある。街の発展を支えたそのような水路はそのほとんどが埋め立てられて、その上をアスファルトが塞ぐ。いまでは運輸船に代わって車が往来している。
年末年始を至福の音楽で迎える夢のひととき。
2021年は巨匠リッカルド・ムーティの指揮で華やかに幕が開きます。
本旅行での鑑賞公演
■ ウィーン・フィルニューイヤーコンサート
1月1日(金)11:15開演 楽友協会(大ホール)
指揮:R.ムーティ
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
※曲目は未定
別途手配鑑賞公演のご案内
*旅行代金に含まれるウィーン・フィル ニューイヤーコンサート鑑賞チケットの他、さらに鑑賞ご希望の方には、下記公演のチケット手配を承ります。(別料金)
◆ フンパーディンク《ヘンゼルとグレーテル》
12月30日(水)19:00開演(予定)、1月2日(土)19:00開演(予定)/7日間コースのみ
ウィーン国立歌劇場
指揮:C.マイスター
演出:A.ノーブル
出演:S.ヴェレス、V=L.ベッカー、B.ダニエル、R.ハングラー、M.ボヒネクほか
1月2日(土)14:00開演(予定)/7日間コースのみ
ウィーン国立歌劇場
指揮:C.マイスター
演出:O.シェンク
出演:V.ヴェレーズ、S.ザクナイコーヴァ、C.ウンターライナー、S.ハウツィール、 T.エベンシュタインほか
◆ J.シュトラウス《こうもり》
12月31日(木)19:00開演(予定)、1月1日(金)20:00開演(予定)
ウィーン国立歌劇場
指揮:C.マイスター
演出:O.シェンク
出演:G.ニグル、C.ニールンド、J.シュメッケンベッヒャー、R.ミューレマン、C.ボック、M.ラウレンツ、M.へスラー、P.シモニスチェクほか
◆ ベートーヴェン《交響曲第9番 ニ短調「合唱つき」》
12月30日(水)20:00開演、12月31日(木)19:00開演、1月1日(金)20:00開演
コンツェルト・ハウス(大ホール)
指揮:M.ホーネック
ソリスト:S.シャトゥロヴァー、M.H.ラインホルト、 M.シュミット、T.ナズミ
◆ ラモー《プラテー》
12月31日(木)19:00開演 アン・デア・ウィーン劇場
指揮:W.クリスティ、R.カーセン
出演:M.ベークマン、J.d.ビケ、C.オヴィティ、M.モイヨン、E.C=マーサーほか
◆ J.シュトラウス《こうもり》
12月31日(木)19:00開演、1月1日(金)19:00開演
フォルクス・オパー
演出:H.ツェドニク
※指揮・出演者は未発表
◆ バレエ《コッペリア》
1月2日(土)18:00開演/7日間コースのみ フォルクス・オパー
振付:振付:P.ラコット(A.S.=レオン原振付)
音楽:レオ・ドリーブ
※出演者は未発表
※記載の指揮・出演者等は現段階での発表のものです。事前の予告なく出演者等が変更となる場合がございます。変更が生じた場合でも旅行代金の返金はいたしかねますので、予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症対策のため一部座席が制限されて配置される可能性があります。
6日間コース
旅行期間:2020年12月29日(火)~2021年1月4日(月)
7日間コース
旅行期間:2020年12月29日(火)~2021年1月4日(月)